大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和43年(ネ)18号 決定 1968年2月17日

控訴人 立岡ヨシ子

被控訴人 中村源治

主文

本件を大阪地方裁判所に移送する。

理由

控訴人は大阪地方裁判所が同庁昭和四二年(手ワ)第三、一一五号約束手形金請求事件についてなした被控訴人の請求を認容する旨の手形判決に対し控訴を申立てたものであるが、手形訴訟の本案判決に対する不服申立としては、異議の申立のみが認められ、控訴は許されず、従って控訴人の申立は訴訟行為として瑕疵があることは明らかである。

しかしながら、異議申立は手形判決をした裁判所に対し訴訟を口頭弁論終結前の状態に復し、通常の手続により請求の当否について審理することを求める申立であり、之に対し控訴は第一審の終局判決に対し取消変更を求めるため上級裁判所に提起する不服申立であって、その審判の対象は不服の主張の当否であり、両者は形式実質共に異るが、手形判決も終局判決であり、本来之に対する不服申立として控訴を許すべきところ、手形訴訟の簡易迅速な解決を目的として、手形訴訟にあっては証拠制限がなされている関係上、手形判決をした裁判所に対し異議と云う新な不服申立を認めたものであって、終局判決に対する不服申立である点において両者は異るところがない。そして控訴人の申立は不服申立の方法を誤った点で訴訟行為として瑕疵こそ存するが、控訴人の申立の意図は手形判決に対し不服を申立てることにあることは明かであるから、之を異議申立と解しても、それはむしろ控訴人の意思に合致するものと認むべきであり、異議申立によって手形訴訟は通常の訴訟手続において手形判決をした裁判所に係属をみるに至るものであるから、かかる場合審級の管轄違の場合と同様に管轄裁判所に移送し得るものと解するのが相当である。<以下省略>。

(裁判長裁判官 岩口守夫 裁判官 松浦豊久 青木敏行)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例